同行の医療通訳者は即時の派遣が難しく、いつでも、どこでも、どの言語でも対応することは不可能です。そこで、ICTのさまざまな技術を活用し、医療場面での多言語支援を行うシステムの開発、運用を行います。
実施体制:重野 前田
協力:和歌山大学吉野研究室
財源:自主事業、委託(滋賀県多言語医療支援ネットワーク、NEC)
病院の受付窓口に設置して、道案内、問診、受付手続きの支援等を多言語で行うシステムです。今年度は、滋賀県医療通訳ネットワーク整備事業の委託を受け、公立甲賀病院と長浜赤十字病院の救急窓口に設置しました。他、全国7病院で運用を行っています。
対応OS: android, windows
運用中の病院: 京都大学医学部付属病院、京都市立病院、洛和会音羽病院、公立甲賀病院、長浜赤十字病院、済生会滋賀県病院、東京大学医学部付属病院
日本語・中国語・英語・ポルトガル語・韓国朝鮮語・スペイン語・ロシア語・インドネシア語・やさしい日本語で症状を検索し、翻訳するアプリです。上記9言語のどの言語からどの言語への翻訳も可能です。無料版と、音声の出る有料版があります。今年度は運用、広報チラシの作成を中心に行いました。
対応OS: android, iOS, web
ダウンロード件数
android
無料版:21224
有料版:66
iOS
無料版:5554
有料版:28
入院・看護領域の会話を多言語でサポートするシステムです。昨年度試験的に導入していた滋賀県医療通訳ネットワークの3病院への本格導入、京都大学医学部付属病院への試験導入を行いました。
どちらの病院も、事前にこのアプリを利用する看護師を集めて利用説明会を開催し、導入を行いました。利用説明会では、「直感的に使える」「音声での検索や音声の発話ができるのがとてもよい」と言った感想をいただきました。
対応OS:android
運用中の病院:公立甲賀病院、済生会滋賀県病院、長浜赤十字病院、京都大学医学部付属病院
入院・看護領域の会話を多言語でサポートするシステムです。昨年度試験的に導入していた滋賀県医療通訳ネットワークの3病院への本格導入、京都大学医学部付属病院への試験導入を行いました。
どちらの病院も、事前にこのアプリを利用する看護師を集めて利用説明会を開催し、導入を行いました。利用説明会では、「直感的に使える」「音声での検索や音声の発話ができるのがとてもよい」と言った感想をいただきました。
対応OS:android
運用中の病院:公立甲賀病院、済生会滋賀県病院、長浜赤十字病院、京都大学医学部付属病院
これまで、受付問診はM3等で行う事ができましたが、用例対訳(事前に質問と回答を想定し、翻訳を作っておく)を利用して問診を行っていました。 用例対訳を利用すると、翻訳は正確ではありますが、個人個人で全て回答が異なるような詳細情報を記載する必要のある科目問診には、回答を事前に想定する事 は不可能で、対応できませんでした。そこで、「選択」と「自由記述」を組み合わせ、自由記述の中で用例対訳がないものにはできるだけtackpadの用例 を使い、精度を保ちながら科目問診ができるシステム、「Tackpad 科目問診」を作成しました。web siteのため、インターネットにアクセスできる端末からではどこからでも利用は可能ですが、現在はiPadで提供しています。
対応OS:webブラウザ(現在はiPadで提供)
2012度導入した病院:公立甲賀病院、済生会滋賀県病院、長浜赤十字病院
iPadを利用して、ビデオ電話通訳を行うシステムです。今年度は下記3病院に導入しました。
対応OS:iOS(現在はiPadで提供)
2012年度導入した病院:公立甲賀病院、済生会滋賀県病院、長浜赤十字病院
また、6月には京都市内から片道3時間以上かかる医療機関への医療通訳の派遣の依頼がありました。その町の近くに通訳者はおらず、京都から派遣すると、交通費・ 通訳料金がかなり高額になってしまうことから、ビデオ通訳システムYoutranを医療機関と通訳者へ貸し出すという対応を行いました。
youtranはiOs(iPhone, iPadなど)で利用できるビデオ通訳システムで、無線LANの環境があれば利用できます。まだ開発途中のシステムのため、今回は無料で機材とシステムの貸し出しを行いました。
利用後のアンケートでは、利用した医師からは「とても操作がしやすかった」「とても役に立ったので、機会があればまた使ってみたい」、通訳者からは「通訳者三塚らが出向かずとも意思疎通が図れるので非常にありがたかった」というコメントをいただきました。音質、画質についても、このシステムはインターネット回線を利用するため、非常にクリアだったようです。
「移動中に切れやすい」という評価もいただいたのですが、利用者が移動しながら利用することを想定した携帯電話と異なり、無線LANは利用者が移動しな がら利用することを想定していません。そのため、移動すると、通信状況は悪くなることは電波の性質上、どうしようもありません。
「システムは何でもできる。」と、つい思いがちですが、人間より優れた機械はありません。システムや通信状況の問題がおこらない範囲で利用できる利用方法、環境を人がナビゲートしていくことで、今回のように人の力だけではできない範囲のサポートができていけば、と思います。
NICTの開発した知識・言語グリッド基盤を利用し、株)NECと奈良先端科学技術大学院大学が中心となって、アルゴリズムの高度化を行い医療交流支援分野に特化した多言語コミュニケーション支援技術を確立し、その技術を活用し音声翻訳システム、医療通訳者による遠隔サポートシステムを用いた実証実験システム開発をしている。
本センターはこの医療交流支援実証実験システムの評価、ならびに医療交流用多言語コーパスの構築を行なった
医療コーパス用用例集・対訳作業
昨年度実施した健診時の患者と医療従事者の会話の未翻訳部分の対応を行なった。
今年度はより機械翻訳システムの活用、精度向上のためにアノテーションに配慮した翻訳を行なった。
・書起し会話用例 4118用例
・タグ付与用例(修正)
・タグの内側除去用例(修正)
・英語・中国語翻訳用例 3882用例(フィラータグ除去後用例の翻訳)
業務シュミレーション評価作業
場所:谷川記念病院 2/7日(木) 13:30〜
患者役、通訳者、コーディネイターの派遣
1)医師/患者/通訳の間で遠隔通訳を実施。(時間計測・映像撮影)
2)医師/患者/通訳の間でリアル通訳を実施。(時間計測・映像撮影)
3)医師/患者の間で、シナリオを元に音声翻訳を実施。
滋賀県の3病院(公立甲賀病院・済生会滋賀県病院・長浜赤十字病院)が主体となり、医療通訳者の雇用とシステムを組み合わせ、病院での多言語対応を行う事業です。センターでは、医療通訳者の研修と通訳者評価、システムの導入・運用を行っています。
昨年度、医療通訳者の雇用(ポルトガル語4名、スペイン語2名、中国語1名)と一部システムの導入を行いましたが、2012年度も医療通訳者の追加募集、多言語医療受付支援システム(追加)、ナースのためのぷち通訳(本格導入)、tackpad科目問診、youtranの導入を行いました。