事業概要
同行の医療通訳は即時に通訳者を派遣することが難しく、いつでも、どこでも、どの言語でも対応することは不可能です。そこで、ICTを活用し、医療者との会話や問診、道案内などを多言語で行うシステムを開発し、運用を行いました。
実施体制 重野 前田
協力 和歌山大学吉野研究室
実施内容
病院設置型多言語受付支援システム(M3)
東京大学医学部附属病院にシステムを設置しました。また、病院導入に関する事務や契約書類の整備を行いました。
モバイル版多言語問診システム(M3)
iOS(iPhone、iPod touchなど)、Andoroidを搭載した端末で利用が可能な震災支援アプリとして提供しました。また、音声合成による発話を行う機能を開発、ロシアとスペイン語の2言語を追加、お気に入り機能なども改善を行いました。現在、無償版と有償版の2つのバージョンで提供しています。
ぷち通訳
Andoroid端末を利用して入院時、患者と看護師のコミュニケーションを多言語で支援する「ナースのためのぷち通訳」システムを構築しました。
入院場面の看護師と患者のコミュニケーション場面だけでなく、検査や薬局などの場面の開発も予定していましたが、これらの分野はすでに既存システムがあること、特に検査場面では機材の持ち込みが難しいことから、本年度は「ナースのためのぷち通訳」システムの改善を中心に行いました。
看護師から患者への会話を中心にシステムを設計したため、看護師から患者への説明文が多く、患者から看護師への質問に対してはフォローが十分ではない部分があったのですが、音声認識、翻訳システムを組み込むことで、患者からの質問や発話もできるようになり、双方向性のコミュニケーションを支援するシステムを完成させることができました。
このシステムは、京都大学をはじめ、滋賀県の医療機関で2012年度の導入が決定しました。
Tack Pad
用例評価機能の向上を行うとともに、tack padに登録されている用例を活用した科目問診システムの開発を行いました。医療者に評価をしてもらいつつ、現場で活用できるシステム作りを行いました。現在webでシステムを提供していますが、今後は医療現場で活用しやすい「iPad」等のタブレットでの提供を考えています。
youtran
電話通訳システムは、現場での利用に合わせて通訳管理システムの開発を行いました。本年度は、実際の導入にいたりませんでしたが、来年度は大阪、滋賀の病院で電話通訳システムの導入を予定しています。
インターネットの普及により、異なる文化、言語をもつ人々のコミュニケーションが可能となり、互いの言語バリアを超えるためにさまざまな言語サービス、システムが研究、提供されています。こうした中、多文化、多言語間の活動でのコミュニケーションを行うにあたって、ICT技術が活用されはじめています。本会では、社会課題や活動課題の解決に向けて、ユーザーと開発者が連携し開発、運用している取り組みを中心に取り上げ、両者の連携について多様な視点で掘り下げました。
日時:10月22日(土曜日)
午後13:00〜17:00 詳細をみる
場所:京都大学 吉田キャンパス構内 百周年時計台記念館 会議室Ⅳ
第1部 基調講演「市民視点で進めるユニバーサルデザイン」
株式会社ユーディット代表 関根千佳さん
第2部 事例紹介 「課題、問題解決型サービスの開発」
NPO法人パンゲア 代表 森由美子
NPO法人多文化共生センターきょうと代表 重野亜久里
第3部 パネルディスカッション「ユーザと開発者間に必要なコミュニケーションとは?」
パネリスト
森由美子(特定非営利活動法人 パンゲア代表)
吉野孝(和歌山大学システム工学部 准教授)
関根千佳(株式会社ユーディット代表)
あべ やすし(愛知県立大学非常勤講師、日本自立生活センター非常勤職員)
司会 重野亜久里(特定非営利活動法人 多文化共生センターきょうと代表)
外国人居住者や訪日外国人が医療機関を利用する機会の増加が見込まれる中、独)情報通信研究機構(NICT)の協力の下、株)NECと奈良先端科学技術大学院大学が中心となり、医療現場で役立つ通訳支援端末の開発を目指す「知識・言語グリッドに基づくアジア医療交流支援システムの研究開発」を行っています。
センターは当事業において医療用例の収集や外国人患者の視点での通訳支援システムの利用者評価などを行います。約3年間の継続事業で、2011年度は人間ドックにおける会話用例の収集と翻訳、システムの実証実験を行いました。
◆人間ドックの受診と会話用例の収集
日時:2012年3月1日、2日
場所:恵心会京都武田病院
その後、録音・録画したデータをもとに、会話用例を書起し、英語、中国語翻訳を行いました。(2000用例)
◆システムの実証評価実験
日時:2012年2月22日
場所:事務機のウエダ
看護師と通訳者を交えて、NEC等が開発したシステムの運用をイメージした評価実験を行いました。
本年度は多言語医療支援システムM3を計4病院に設置しました。従来のPC版だけでなく、最近端末数や利用が急激に増加しているタブレット版(Android)でのM3を開発しました。
また、設置病院の増加に合わせて、設置の手続き、事務フローを整備しました。
2012年3月
公立甲賀病院、済生会滋賀県病院、長浜赤十字病院へタブレット版(Android)を導入。
2011年4月
東京大学医学部附属病院へwindows版を導入。