09年センターでは従来の事業を推進しながら、新たな事業展開にむけて基盤を整備した一年でした。京都府の企業等・NPOからの提案型事業申請の採択を受け、新たにスタッフを雇用し、外国人ママのための医療通訳派遣事業の立ち上げを行いました。前半、企画に予想以上の時間がかかってしまい、事業案の決定、養成講座の実施が大幅に遅れてしまいましたが、後半は2名のスタッフを増員して養成講座、選考会、利用モニター募集までスケジュールどおり進めることができました。約1か月の養成講座では3名の専門通訳者を育成し認定しました。
「ICTを活用した多言語医療支援システムの研究」では、多言語医療受付支援システムM3を京都市立病院、京都大学医学部付属病院に続き、洛和会音羽病院、聖路加国際病院の2つの病院に新たに設置しました。これは情報学や医学関連の学会等で研究発表したことがきっかけで設置につながりました。また、京都市からの推薦により、内閣府のバリアフリーユニバーサルデザイン推進功労者表彰を受けました。本年度は実験的な設置でしたが、次年度は有償サービスとして提供していきたいと考えています。
京都市の医療通訳派遣事業では、事務局とコーディネイターがそれぞれの役割を明確にし、連携しながら事業を推進していきました。5月には新型インフルエンザの流行に伴い、派遣できない時期がありましたがすみやかに電話通訳の体制に切り替えて通訳サポート続けました。また、これまで京都市、財)京都市国際交流協会との三者会議では事業開始当初から関わっていた担当者が組織代表として参加していましたが、講座を除く派遣に関するマネジメントや事務、協働の三者会議への参加などの業務を事務局へ委譲しました。
講師派遣事業では、5月の新型インフルエンザでの電話対応をきっかけに、電話通訳に関する研修のご依頼がありました。全体としては医療通訳者の養成に関する依頼は減少してきています。数年前より、地域での医療通訳者の養成が一種の流行となっており、全国の各地で養成講座が開かれるようになりました。しかし、最近では医療通訳者の養成そのもの取り組みが減ってきており、縮小傾向にあるように感じています。その背景には経費、通訳人材が確保できない、通訳派遣制度を立ち上げるまでに至らない、医療通訳のニーズそのものが少ないなどさまざまな理由があるようです。本年度は昨年度に比べ派遣件数は少なくなりましたが、育成、派遣制度の立ち上げなど、短期ではなく長期的な関わりが多くなっています。一方、韓国の医療観光の推進と国家による医療通訳者の養成が始まり、その影響で日本でも医療観光が注目され始めています。医療通訳養成講座に韓国からの参加があり、その縁で韓国のフォーラムに招かれたり、次年度は講師派遣事業の一環として韓国の医療通訳コースの学生を受け入れることになりました。
理事長 重野亜久里
重野亜久里
前田華奈
高嶋愛里(医療通訳派遣事業 コーディネイター・外国人ママのための医療通訳派遣事業)
政宗敦子(医療通訳派遣事業 コーディネイター)
河崎かおる(外国人ママのための医療通訳派遣事業)
中本孝男(新) (ICTを活用した多言語医療支援事業・法務)
福元梨恵(新) (外国人ママのための医療通訳派遣事業)
篠田早苗(新) (外国人ママのための医療通訳派遣事業)
安間徹(新) (ICTを活用した多言語医療支援事業 他)
インターン 大畑陽子 小松原奈保子 (医療通訳派遣事業・ICTを活用した多言語医療支援事業)