◆協働について
本年度は、インフルエンザの流行など緊急の対応が必要な場面などが発生し京都市、協会と連携して電話での通訳対応を行うことができました。 運営会議では多文化からは重野が参加していましたが、京都市や協会の担当職員の交代しており、センターも世代交代の必要性を感じ、1月より 重野から事務局の前田と交代しました。 また協会で実施している行政通訳と医療通訳の連携がうまくいかない場面が何度が発生し、多文化の派遣事務局が混乱することがありました。その背景には、患 者が予約を変更したい時や新患の相談などで病院と患者がコミュニケーションを図る場面で、センター事務局では当事業事業予算の関係で多言語対応のスタッフ を常駐させることができないために、対応ができず、それらの説明を行政の電話通訳に頼っていたため、行政通訳と医療通訳の互いの対応範囲が混乱することが ありました。今後事務局でなんらかの対応がとれるように検討していかなくてはいけないと考えています。 3者協働での事業は非常に安定した運営を行うことができていますが、新たな課題が発生した時、迅速な意思決定や対応することは難しいという現状がありま す。また予算の関係で対応病院の増加が難しく、事務局での常駐の多言語対応できる人件費の確保ができないため、患者 からの依頼でなく医療機関からの依頼にせざるを得ません。この問題を改善しようと、事業を広げたり対応を柔軟にしようと思えば、結 局多文化の負担と経費が増加していく結果となってしまうことが大きな課題であると感じています。 そこで、この課題を解決する事業として、コミュニティビジネスとして新たに外国人ママのための医療通訳派遣事業を開始しました。当 事業は京都市医療通訳事業を補完する事業として位置づけており、京都市医療通訳派遣事業が公的(どの患者も無償で利用できるサービ ス)なものであるのに対して、プライベートな有償のサービスとして患者の個々のニーズに柔軟に対応できる事業として位置づけています。より多様なサービス を展開することで通訳派遣事業と連携して外国人支援の充実をはかりたいと考えています。
◆コーディネイトについて
・通訳者メンタルフォロー、派遣シフト作成
・現場指導・サポート、通訳者の育成
・派遣事務(派遣依頼、運営会議の参加)
・講座の企画、運営
09年はコーディネイターや事務局の専門分野や能力、素質を鑑みてコーディネイターの3つの役割に分けてコーディネイトを行いました。なかでも短時間で処 理が必要なものは事務局、時間をかける、あるいは現場での調整が必要な部分についてはコーディネイターが行うことで適切なタイミングで対応を行うことがで きました。 また通訳者の講座の参加率が非常に低くなっているという問題点が発生しています。当事業では通訳業務の一環として研修を位置づけてい ますが、参加しない通訳者が多くなっています。本年度は参加しやすいよう2日連続の講座としましたが、現場の通訳者の参加率を 大きくあげることができませんでした。 講座は新たな通訳者の確保と現状通訳者のスキルアップとして位置づけているため、継続して講座の参加を促していきたいと考えています。 同時に講座は事務局と通訳者との直接顔を併せる意味でも大変重要であると考えています。そこで次年度は通訳者と事務局との話し合える ような場も必要であると考えています。 また08、09年度の課題であった通訳スタッフとの信頼関係は時間をかけての改善が必要ですが、コーディネイターの役割分担の中で新たに電話やメールなど のフォロー体制を強化したため、信頼関係を回復しつつあり、また現場の通訳の課題も事務局や運営会議で 共有できるようになりました。
◆通訳者の更新
通訳者の身分証に1年の期限を設け、毎年更新確認を行いました。今年はよりインターネットでの作業に慣れてもらうために、インター ネットフォームでの継続確認も新たに導入しました。
◆研修生の育成、研修について
本年度をもって英語の研修生を修了することとしました。本来事業では英語の現場が少なく、研修できる回数も限られており、現場にでないまま研修生の身分の 通訳者が数名いましたが、本年で5名の研修生が通訳者となりました。 医療機関での英語通訳者の需用はあまりないため、今後医療通訳派遣事業での英語通訳者の募集は当面行ないません。 中国語の研修生については前年度秋に選考会を行ってから講座を受け、医療機関での研修を行うことにしました。しかし、最終的は研修後退職する通訳者もお り、採用した3名の通訳者のうち実際に稼働できるスタッフは1名のみでした。またシフト未提出や事務局への報告などを 行わない等のスタッフも多く、事務局も対応に苦労しました。そのため、今年度は講座後の選考会にすること、選考会の選考方法 の検討を行いました。講座も5回にわけてではなく、集中して2日連続で実施しました。また、通訳選考後から認定後のフォローについては、別々のコーディネ イターが行っているため、研修から一環してコーディネイトする方が通訳者の状況の把握がしやすい こと、通訳者と信頼関係を構築しやすいと感じています。そこで次年度は研修と認定後の一環したコーディネイトを行う必要があると感じています。
報告 重野