理事長 重野
各取り組みの集大成の1年
本年度は多文化にとってこれまで続けてきた努力の成果を形にする、そして次のにつなげるを1年でした。多文化にとってこれまでの長年の活動を集大成した1年でした。
医療通訳の養成、派遣の取り組み
医療観光が注目される中、外国人支援で長年活動してきた医療通訳の活動をまとめ、振り返り、現場の視点から医療通訳基準を作成、提案しました。開催に当たっては、4年ぶりにMICかながわと共催で「第3回医療通訳を考える全国会議」を京都で開催しました。全国の医療通訳の実践者たちがあつまり医療通訳の共通基準を作成することができました。また基準完成に併せて、報告書の作成、医療通訳のためのトレーニングテキストを基準に沿った型で執筆し、医療通訳育成、派遣のノウハウを1つの書籍にまとめることができました。
ICTを活用した多言語医療支援
言語グリッドプロジェクトは最終年になり、プロジェクトで取り組んでいたシステムがつぎつぎ現場使われ始めています。7月にweb版の多言語問診システムの提供、3月にはiPhoneやAndoroidなどのスマートフォンを活用して多言語問診システムの提供を行いました。リリース時期が東日本大震災と時期がかさなったたため、震災に使われるであろう症状などをについて追加し、震災用としてリリースを始め現在4000ものダウンロードをいただきました。また病院設置型では5月には東大病院へ設置予定になっています。
またtackpadで準備していた問診機能に震災用のこころの問診や放射能に関する問診を搭載し、東日本の震災の支援をすることができました。突発的な支援、新しい支援だけでなく日頃の支援やつながりから震災支援を行えたことは、これまでの多文化共生センターきょうとの活動積み重ねがあったからであると思います。
また新たに多言語の音声合成を活用して携帯が多言語を話すぷち通訳システムや携帯を活用したテレビ電話システムなどの実証実験を行うことができました。研修では伊賀と札幌のNPOと連携して実施することができました。
今後はこれまで開発してきたシステム実際の現場活用の提案や導入にむけてさらに力をいれていきたいと思います。
事務局、コーディネイター、通訳者との連携
医療通訳派遣事業では事務局、コーディネイターの連携がうまくいきスムーズに派遣を行うことができたと感じています。病院と事務局の連携やコーディネイターと通訳者の連携などもスムーズにいきました。2010年度は通訳者の講座の参加率もたかくなっています。
1また2010年度から定期的に交流会を多文化共生センターの事務所で実施し事務局と通訳者のつながりやひごろ聞けない通訳者の悩みなどを聞く機会をもつことができました。
あらたな課題と次のステップへ
ママのための医療通訳派遣事業は2年目となり中国語での養成を行いました。大変優秀な通訳者を確保できたものの、通訳派遣依頼の確保がなかなか進みませんでした。その背景には本年度に入って行政内で同様の事業が実施されはじめたことで、センターへの依頼が極端に減ってしまったことによります。
母子に特化してサービスを展開していましたが、特化により使える範囲が狭く、その他の依頼に対してサービスが対応しにくいという問題もあります。センターには母子以外の派遣依頼が多く寄せられており、2011年以降は専門分野だけに特化したサービスではなく広く派遣可能なサービスとして設計しなおし、さまざまなニーズに対応できるようにしていきたいと考えています。
事業体制について
本年度は事業規模も大きくなり、事業も多様化してきました。そのため、個々のスタッフの業務量に偏りがでてきています。新しいスタッフも従来スタッフの同様に業務がこなせるよう情報やノウハウの共有をすすめると共に、各スタッフが責任と主体性を持って事業に個々に関われるような役割分担、体制にしていかなくてはいけないと考えています。2011年度は事業を複数の体制で進めていくことが必要であると考えています。
決算 前田
組織運営
事業統括:重野
事務統括:前田
法務・労務・会計:前田・中本(事業法務・資金調達)
各事業
・第3回医療通訳を考える全国会議:◎重野 前田 高嶋
・京都市医療通訳派遣事業:◎前田 久我口 重野 政宗 高嶋
・ICTを活用した多言語医療支援:◎重野 前田
・外国人ママのための医療通訳派遣事業:◎高嶋 宮地 河崎
・翰林大学(ハルリム大学):◎重野 高嶋
・集約事業:◎中本 重野 高嶋
・インドネシア看護師・介護士のための電話相談:高嶋 重野 エニレスタリ
・調査研究:重野 高嶋
・よせなべ(外国人医療カンファレンス):高嶋
・商品販売 久我口