報告 重野
事業概要
多言語社会リソースかながわ(通称MICかながわ)と協働し、多文化共生の趣旨を踏まえた医療通訳者の共通基準を検討するため、プロジェクトチームを設 置するとともに、共通基準のオーソライズに向けて全国の医療通訳システムの実施団体との協議を行った。プロジェクト会議の実施にあたってはskypeを活 用した会議を実施し横浜と京都をつなぎ議論を重ねました。
事業の概要
・プロジェクトチームによる医療通訳共通基準の検討、提案
実施回数6回(会議前後) Skypeによる横浜と京都の会議
・共通基準を協議する第3回医療通訳を考える全国会議の開催
・共通基準の公表、学会等における報告・発表、政府への働きかけ
びわ湖国際医療フォーラム
来日・定住外国人へのコミュニケーション支援(愛知大学)
日本パブリック通訳翻訳学会
多言語・多文化社会研究全国フォーラム
第3回医療通訳を考える全国会議
全国実践者会議 (11:00〜12:30 15:30〜17:00)
日時 2010年8月21日(土曜日)
午前:キャンパスプラザ京都 2F ホール
午後:キャンパスプラザ京都 2F 第1会議室
医療通訳者には何が必要か?
医療通訳に必要な能力、技術、資質、知識、姿勢などの「基準」について、通訳者を養成し、派遣している実践者の視点から議論します。実践者会議では、多言語 社会リソースかながわ及び多文化共生センターきょうと協働のプロジェクトチームにより作成した、現場の視点から医療通訳基準の「素案」をもとに全国各地の 医療通訳派遣・養成をしている団体・医療機関の実践者が集い協議検討を行い、それぞれの地域で活用できる共通基準案の作成をめざした。
全国各地から医療通訳派遣・養成に取り組む11団体が集まり、素案について議論をすすめました。限られた時間ではありましたが、それぞれの団体の経験ふまえたコ メントやご意見を沢山いただきました。
参加団体
・IMEDIATA・りんくう総合医療センター
・NPO法人エスニコ
・NPO法人国際ボランティアセンター山形
・医療通訳士協議会
・NPO法人多言語社会リソースかながわ
・NPO法人多言語センターFACIL
・NPO法人多文化共生センターきょうと
・財団法人宮城県国際交流協会
・財団法人 鳥取県国際交流財団
・みのお外国人医療サポートネット
・NPO法人伊賀の伝丸
医療通訳を考えるフォーラム
キャンパスプラザ京都 研修室
13:30〜15:00
医療観光の各国の取り組み
タイの医療事情とメディカルツーリズム
Bangkok hospital medical Center JMS
(Japanese Medical Service)Marketing manager 田中耕太郎さん
韓国の医療通訳とメディカルトラベル
通訳者 LEE JUNG NAMさん
メディカルツーリズム 徳島健康・医療(糖尿)クラスター形成
財団法人とくしま産業振興機構知的クラスター本部 事業総括
濱尾 重忠さん
医療観光と医療通訳のゆくえ
パネリスト
・岩本 弥生さん
・高嶋愛里さん
・坪田 由紀子さん
・西山 利正さん
・濱尾 重忠さん
相談する・交流する・つながる」特別交流会
キャンパスプラザ京都 2F 第一会議室
全国の医療通訳にかかわる実践者たちが交流したり、互いの思い・悩みを共有することで新たなつがりを創る場になりました。
「相談する」通訳派遣事業運営・通訳育成について
担当:重野亜久里(多文化共生センターきょうと)
「交流する・つながる」通訳者向け交流ブース
ファシリテーター
佐藤ペティー(中国語医療通訳スタッフ MICかながわ)
三浦 遼 (英語医療通訳スタッフ MICかながわ)
岩本 弥生 (コーディネーター兼ポルガル語医療通訳スタッフ MICかながわ)
「相談する」
個別相談(守秘義務を守って相談対応いたします)
○○な時はどうすれば・・・そんな相談に対応します
担当:鶴田光子(ソーシャルワーカー MICかながわ)
高嶋愛里(看護師、通訳コーディネイター多文化共生きょうと)
「相談する・つながる」
通訳基準について
担当:西村明夫 (プログラム・アドバイザー MICかながわ)
森田直美 (英語医療通訳スタッフ MICかながわ)
評価
第3回医療通訳を考える全国会議を4年ぶりに開催した背景には、最近の医療観光がにわかに注目されはじめ、医療通訳をめぐる環境が大きく変化してきていると感じたためでした。今まで在住外国人支援において、長年にわたって医療現場の言葉の支援を行ってきましたが、今、私たちの活動を振り返り、まとめ、現場の視点から医療通訳はなんであるのか?医療通訳に求められるものについて定義し、伝えていくべきタイミングがきたと強く感じたためです。そこでセンターと同様に医療通訳を8年にわたり派遣しているMICかながわと協動し医療通訳の共通基準を議論しました。医療通訳については、これまで研究者や大学などがすでに議論を重ねていると思いが、日頃現場に従事している通訳者の視点での議論はほとんどされていなかったようように感じています。
今回、医療通訳について全国の活動者が集い議論し、1つの形にまとめ、社会にむけて発信できたことは大きな成果であったと思います。
また、基準からいくつかの成果も生まれました。
・集約事業でまとめた基準にもとづいたテキストを作成できたこと
・京都市の医療通訳派遣事業において通訳選考の基準として採用できたこと。
・医療通訳に関連する周辺のさまざまな組織や団体にも少なからずインパクトを与えられたこと。
・会議をきっかけにあらたな連携が生まれたこと
私たち多文化共生センターきょうとが外国人医療の支援についてこれまでの取り組みで培ってきたものを1つの形を提示てきたことが大きな成果であったと考えています。