報告 高嶋 宮地
事業概要
グローバル化が進む現在、国境を越える人びとの移動はますます活発になりました。日本に住む外国人は220万人を超え、家族の呼び寄せや国際結婚などにより日本で妊娠・出産・子育てをする外国人の数も増えてきています。しかし、日本で妊娠・出産には「ことば」の壁はもちろん、慣習、価値観の違いや宗教など文化的な差異による混乱や戸惑いも多くあります。また妊娠から出産の間の妊娠届や母子手帳取得、外国人登録、各種支援制度、健診や予防接種は各機関を渡る手続きが必要で外国人にはわかりにくく、困難を感じている妊産婦は少なくありません。そこで外国人ママ一人ひとりに寄り添いながら、多面的なサポートを行う有償の通訳派遣事業(英語)を2010年度より開始しています。2010年度は言語と対応範囲の拡大を目標としました。
実施内容
・英語通訳派遣 モニター派遣4~9月、有償派遣10月~
・通訳派遣に関する契約内容整備
・医療通訳者の養成(中国語)10月~11月
・医療通訳者の専門範囲の拡大 (乳幼児期) 英語・中国語
・チラシ作成 事業チラシ・ポスター作成 (英語・中国語)
・ホームページの作成 (日本語・英語・中国語)
・健康フェスタへの参加 (通訳派遣・事業紹介)
事業実績
・専門医療通訳者養成講座
周産期(中国語) 20時間+選考会
参加者 21名
通訳認定者 6名
乳幼児期(中国語・英語) 10時間+選考会
参加者 9名
通訳認定者 9名
・英語通訳派遣
【モニター派遣】
派遣件数 9件
派遣場所 計5箇所(病院 2/保健センター 1/区役所 1/イベント 1)
妊婦検診、母親学級、書類申請手続、診察相談 など
利用者アンケート 通訳利用満足度 100%
通訳を利用したママの感想:
妊娠というストレス(不安)に、言葉が分からないというストレスが
追加されていたが、通訳を利用することで、自信と安心につながった。
【有償派遣】
派遣件数 1件 派遣通訳者数 2名
派遣場所 保健センター (外国人ママの交流会)
翻訳依頼 1件 アンケート・ニュースレター
事業評価・課題
・成果
言語・対応範囲の拡大 中国語、乳幼児期に広げられた
正規依頼1件あり 英語:保健センター(外国人ママ交流会)
愛称決定(ことさぽママ)
コミュニティ・他団体との連携 (フィリピンコミュニティ・チャーム)
・課題
2010年度の事業予定で実施できなかった3項目に関しては内容の再検討や次年度で実施をめざしたい。
行政翻訳者の養成(英語・中国語) 行政手続き書類等の翻訳
→対応範囲の再検討を行う。
webを活用した多言語相談、情報提供の実施
→ホームページの作成は行ったが、今後定期的な多言語での情報提供、相談が行える体制つくりを検討していく必要性がある。
多言語問診のWEBサービス化(多言語医療支援システムとの連携)
→次年度に連携を検討
・事業の課題と次年度に向けての改善
外国人ママに当事業について知ってもらえるような広報を行っていく。